渦中の東芝にまつわる話〜「未来の野菜工場」の虚構〜バリウムフェライトフロッピーディスク

空中分解・事業売却・甘い見通し・債務超過は時間の問題、と叩かれまくっている「東芝」という会社にまつわるジブンのお話ですが、思い返せば現在の状況も”さもありなん”な気がします。

昨年末に知人からのお知らせで植物工場「東芝クリーンルームファーム横須賀」の事業終了を知って妙に感慨深いものがありました。小泉純一郎元首相とパソナさんのデモンストレーションで一躍脚光を浴びた「未来の野菜・植物工場」、ジブンも6年前の2011年に水耕栽培に関するビジネスモデルを携え、支援スポンサー候補であったドバイの王族のお妾さん(大阪のおばさん)を連れて、名古屋に拠点を持つ水耕栽培の第一人者の元を訪れたりしておりました。

なにやら怪しく聞こえる話ですが...

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TOSHIBAブランドの水耕栽培野菜

2011年のとりあえずなジブンの結論

水耕栽培による野菜工場は、ほぼ技術的には確立されていて資本さえ準備できれば誰でもどこでも栽培事業を始められます。ただしビジネス的には採算が取れません。完全無農薬のプレミアムを冠して高値でコンビニ展開したとしても難しいのは消費者動向調査でも明らか。

「安全な栽培野菜」ビジネスを成立させるには、野菜収穫までの栽培時間ロスを割愛して生産現場でもっとも効率的なXXXXXXXXXXX部分を事業化、AAAAAAA的手法を模写しKKKKKKKKKKKKKKK部分をネットワークビジネスとして連結させる必要がある。

※伏せ字にて失礼いたします。

2014年、東芝が植物工場事業開始

そんなジブンのネガティブ判定な水耕栽培による野菜工場ですが、2014年9月、東芝は神奈川県横須賀市で植物工場事業をはじめました。他にも植物工場を立ち上げた企業はありましたが、とりわけ東芝の植物工場がジブンの気を引いたのは「1990年代前半にフロッピーディスクの生産を終えた遊休工場のクリーンルーム施設を利用して」というくだりで、工場訪問もさせていただきました。

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90年前半、バリウムフェライトを使った垂直磁気記録というのが次世代フロッピーディスクのキーワードと言われておりましたら、東芝がMF2ED(2.88MB)規格として製品化、突如磁気記録メディア業界に参入します。CMPのウチのチームでも新入社員2年目の”ホンゴウくん”を担当に据えて媒体開発・製品化しました。ただ既にフロッピーディスクの終焉が見えて来た時期だけに何故、東芝が新規参入???な思いでおりましたら...あっという間に撤退、Mini-Diskのときのクラレもそうですが「収益見通しにシビアな企業判断の速さ」というものを痛感する経験でした。

2016年、東芝が植物工場事業、撤退

今回も東芝の撤退判断は早かったです。植物工場「東芝クリーンルームファーム横須賀」2014.9事業開始〜2016.12事業撤退、事業開始までの準備にどれくらいの時間を費やしたかはわかりませんが稼働僅か2年です。

先に書きましたが、水耕栽培による野菜工場は、ほぼ技術的には確率されていて資本さえ準備できれば誰でもどこでも栽培事業を始められます。ただしビジネス的には採算が取れません。そんなコト解らないはずないのだけど... 東芝がMF2EDで業界新規参入したときと同じです。

撤退の企業判断は速いですが、東芝の事業展望が大甘なのは昔からだったみたいです。

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