General Magic〜20年早すぎた無謀な挑戦〜ビル・アトキンソンはジブンのヒーローでした

世間的にはアップルと言えばスティーブ・ジョブスの経営手腕が取り上げられ伝説のカリスマのような扱いをされていますが、ジブンには弁舌の立つセールスマンにしか見えず、80〜90年代にかけてのアップルでジブンのヒーローは間違いなくビル・アトキンソン(Bill Atkinson)でした。

80年代中盤に生まれたMacintoshの驚嘆の源であったQuickDraw、HyperCard、MacPaintを書き上げ、最後まで無料でバンドルすることを主張し、Knowledge Navigatorを目指したビル・アトキンソンは、約束を反故にされたアップルを去り、General Magic で現在のスマホの卵のようなシロモノを作ろうとしました。

ただその目論見やアイデアは、90年代初頭にはあまりに無謀な挑戦だったという落ちなのですが...

Magic Cap / room metaphor interface

昨年の春にこの無謀な挑戦がドキュメント映像となりアメリカで公開され、トライベッカ映画祭で上映されました。日本にやってくるのはまだかまだかとワクワクしていたのですが、どうやら現実的には厳しそうな様子です。

GENERAL MAGIC - OFFICIAL TRAILER

General Magic movie official

<追記>2020.1現在 On Line視聴出来るようになりました。
https://putlocker123.to/general-magic/

General Magicの晩年にあたる1996年、NTTと守秘義務契約を交わして日本仕様PIC-2100Jの試用試験に参加していた頃が懐かしいです。

発想の一部はアップルのNewton、iPhoneで具体化し、構想はグーグルのAndroidに引き継がれたGeneral Magicに思えます。Google Map、Google Documentを眺めながら音声認識や翻訳の補助をしてもらっていると当時のアップルのKnowledge Navigator構想を思い出してしまいます。

結局のところスティーブ・ジョブスが拘ったのは”売れるハードウェア”としての要素と収益力という経営理念、ビル・アトキンソンはただただ理想を追うソフトウェア・エンジニアだったように映ります。

80年代当時のジブンはと言えば、数量が見込めないのを承知で業界初となる「Macintoshフォーマット済み」フロッピーディスク製品を企画したり、HyperCardを使って製品仕様のデータベースを作成して当時の社内電話配線を使った簡易LANを張ったりしておりました。

The Computer Chronicles - Hypercard (1987)

90年代後半、ジブンが企画したBitlive.netはプロデュース能力の稚拙さを自覚させられた案件でしたが、時代的にも少しだけ早すぎた無謀な企みだったのかもしれないとGeneral Magicをダブらせてしまいます。