ハイパーテキスト2〜HyperCard ハイパーカードの進化

HyperCardは、Ver2.0から待望のカラー化/画像挿入/QuickTime対応になり、見てくれはモダンになりましたが、誰にでも簡単にスタックが作れるという反面、本腰を入れると実は難解な取扱い(これが一番おもしろくて関心するロジック満載の部分でもあったのですが)に拍車がかかったようなものになっていきました。

それを補うかのようにツール群が発表されていて、それはそれで楽しさ(コンピュータを扱っている実感)を感じさせてくれてはいましたが、果たしてこれを効率のいい仕事の道具に使い続けていいのか? という疑問も湧いてくるわけです。

o Marionet
o Dialoger
o CommsTalk
o Globaltalk
o HyperBASIC
o CompileIt!

o CompileIt! Developer Interface
o Double-XX
o LinkEdit
o MasterScript
o ScriptEdit
o CodeCatcher
o LiveCard
o ABE
o xLink
o WindowScript
o TableIt
o ListTable
o ColorizingHyperCard
o HyperTint
o Expanded Book
o HyperDA

そもそも表題に掲げた「ハイパーテキスト」というのは、1963年にテッド・ネルソン(Theodor Holm Nelson 1939年 -)が生み出した用語で1960年から彼が立ち上げたザナドゥ計画(原初のコンピュータネットワーク構築思想)のキーワードであったわけです。これらは現在のインターネット基幹となる World Wide Web(ティム・バーナーズ=リーの思想設計による)によって実現したかのように言われていますが、当事者間では”全く違う!”という結論なんですね。

自分も「ハイパーテキスト」=「World Wide Web」というのはかなり無理がある、見てくれだけを表現してみせたプログラムに過ぎない様に思えます。

ネルソンが「ハイパーテキスト」に込めた概念は実はかなり難解です。(1974 Computer Live /Dream machine)そのうえでビル・アトキンソン(Apple)の「HyperCard」を眺めてみると(一般での実用性を度外視することが許されるなら)かなり「ハイパーテキスト」ライクなプログラムだったと思います。

「HyperCard」「MacPaint」をはじめ、初代Macに実装された半分以上のプログラムを描いたビル・アトキンソンという人物は天才プログラマでありながらネルソンを継承した思想家でもあったと言えます。

Appleが「HyperCard」をどう考えていたのか解りませんが、中途で無償バンドルを止めてしまいver2.4を最後に「HyperCard」は消滅してしまいました。そしてビル・アトキンソンもAppleを去りました。