ネット配信コンテンツの虚構〜楽曲販売ビジネスの器

先日紹介した「たむらぱん」のCDは、WWW.MUSICPOSCAでしか買えないのですが、彼らのメインプロモーションの舞台は「myspace」です。ネット配信時代にふさわしい舞台じゃありませんか!
数年前米国版「myspace」が立ち上がったとき、廻りから「おんなじこと始めたトコありますよ」と聞いてサイトを覗くと...ジブンが98年にプロデュースした「shibuya.bitlive.net」のコンセプト/構成と全く同じに見えましたが...そのとき既にジブンはフェードアウトした身ですから因縁つけたりする立場には無くて、ただ昨年からブレーク予感なYoutibeにしろ、アイデアとしては古いけどビジネス的には今からが旬で、高速光ネット回線や3Gモバイル回線の普及にはずみがついた今だからこそ生きるスピード感があればこそ、なによりバックに資金力のあるパトロンが付いてるのがうらやましい限り...というのがホンネです。

先日、訳知り顔30代のIT会社代表が「いまはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の時代ですよ!」なんて言ってるを聞いて「こいつ素人感覚だなぁ」と笑ってしまいましたが、実際のところビジネスモデルとして成立する時期を計算しないと全てが水泡に消えて行きますからね...正解かもしれない(実感してます)

逆に、投資家と名乗る人達が「これからコンテンツビジネスはネット配信がメインですね」と揃えて口にするのを聞いて「本当の素人だな」と笑いました。それは10年以上前のコンセプトアイデアであって、コンテンツ販売を生業としてる人達のビジネスの実態としては下流に向かって加速しています。これも「shibuya.bitlive.net」のときに予見したとおり、ネット配信をプロモーションと割り切ったうえでコンテンツを”買って貰う仕組み”が充実しない限り、儲かるのはデータを垂れ流して利用料金をふんだくる一部の輩だけです。

コンテンツ配信の現在商況はと言うと「コンテンツホルダー(版権者)」と「デリバリートレーダー(配信業者)」との関係は、「メーカー(製造業者)」と「ディスカウントストア(仕入担当)」との関係に酷似しています。ばらまくチャンスはあるけれど儲からない零細中小企業なアーティストが必死にがんばっていて、ネット配信企業サラリーマンが好景気を演出している構図です。

最悪な比喩を使っていますが、儲かっているように見せかけているコンテンツ配信会社の笑顔の社員の裏側だけではなく、実際には複雑な状況があって「チャンスがあるからいいじゃない!」と輝く瞳で夢を語れる子達を送り出せてもいるわけです。ただ彼らもまた先日の「等価交換を要求する子供達」のようでなければいいなぁと、もっとクレバーな視点でこの状況をしたたかに楽しむ輩であって欲しいとも思うんです。