液晶テレビ40型80,000円かぁ〜コストダウン技術

この不況下液晶テレビとりわけ40インチ以上の大画面液晶テレビは、家電エコポイント商法が後押しして価格下落が凄まじいですね。我が家で3年前に購入したとき(「プラズマテレビがやってきた!〜リビング模様替えと年末大掃除」)42型(プラズマ)160,000円だったのが、いまでは半額で買えてしまいます。

PANASONIC  VIERA TH-P42S2 [42インチ]

3年前はまだハイスペック競争に技術力をふるっていたメーカーも、最近はもっぱら技術力はコストダウンに傾注されているらしい。

3年前に厚さ35mmの超薄型液晶テレビを実現させたHITACHI Wooo UTを分解して解説した記事がありました。「いいもの(高付加価値)は売れる」とまだ信じられていた頃のお話です。

超薄型バックライトの光電管19本(2007 HITACHI WOOO UT)

従来40インチクラスの液晶テレビには、バックライト:光電管は12〜14本が使われていました。そして構造上それぞれの光電管にトランスがぶらさがっていましたが、最新の同クラスの光電管は4本程度(ただしS字型、U字型に変形させている)でトランス数も減らしてコストダウンさせています。

液晶パネル前面の光学シート:4層(2007 HITACHI WOOO UT)

液晶パネル前面にある光学シートは、液晶テレビのコントラストを向上させたり、反射を抑制する等の機能を持たせるために偏光板、視野拡大フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、反射フィルム等(詳細説明)を組み合わせてあります。通常、高画質チューンを狙うと枚数も増えコストダウンに向かうと切り捨てられる性能の分、枚数も少なくなる理屈です。しかしながら最近は新素材によって従来複数層必要だった性能を単層でカバーするフィルムが開発されています。

あからさまにコストダウンが目に付くのが外装ユニットケース。廉価版の製品はフラット仕上げ面だけの1ピース構造になったり、従来複数ピースで構成されていた異なる仕上げ面の部分でさえワンショット。それはそれで金型屋さんががんばってるなぁ、と思わせるところではあるのだけど。

あとはあれほど高音質をうたい文句にしてきたメーカーの製品でも中国製?と思わせる安普請のスピーカーに代わってます。もっともAVシステムは別途、というのが定着しているので「無駄な部分は簡略化」というコストダウン項目になっても当然かなぁ

いやぁまだまだコストダウンの跡はあるけれど、全体品質としてはどうなんだろうか。そしてこれでもSAMSON(韓国)や台湾製、中国製の価格には全く歯がたたない。突き詰めた画質性能などの技術力ではSAMSONの技術者も日本のメーカーには敵わないと認めていますが、所詮いまどきの売れ筋は「ほどほど高性能で超低価格」の液晶テレビなんですね。高い人件費を抱える国内生産でこの超円高、どこまでコストダウン技術が進んでも「焼け石に水」というのが正直な話です。