日々の雑感〜MP3の終焉
ギズモード・ジャパンの記事によれば、MP3を開発したドイツのフラウンホーファー研究所(Fraunhofer Institute)が、ライセンスプログラムを終了すると発表したと伝えています。
On April 23, 2017, Technicolor's mp3 licensing program for certain mp3 related patents and software of Technicolor and Fraunhofer IIS has been terminated. We thank all of our licensees for their great support in making mp3 the defacto audio codec in the world, during the past two decades. (→原文) |
同記事に掲載されているようにジブンが扱う音響データもほとんどがAACフォーマットに置き換わっています。更に言えば記憶・転送に関わるビット単価が劇的に暴落した現代では圧縮率を競うだけのフォーマットは流行らなくなってしまいました。
とは言え浅からぬ因縁があるMP3です。
1997年の夏、韓国のセハン情報システム(SaeHan Information Systems)のヒトから当時日本コロムビアに在籍していたジブンにコンタクトがあり音響機器に関する話がしたいと言う。ただそのヒトが思い出せない...ながらもお会いしてみると1994年当時、まだジブンがエンジニアとしてセハンメディア(Saehan Media Co.,Ltd.)に磁気媒体の製造技術指導に出向いていた頃の担当課長そのヒトで、セハン情報システムに移動となり製品開拓部長となっておりました。
そのときに開示されたのがセハン情報システムで開発したという世界初の小型携帯MP3プレイヤー(試作品)でした。セハン情報システムとしては日本コロムビアにライセンスもしくは共同製品開発を打診したいという内容で、旧知のジブンにコンタクトがあったと言うワケです。当時の日本コロムビア(DENON)技術部門・研究部門にもコンタクト情報は流しておりましたが、結局日本コロムビアがこの打診に応えることはありませんでした。
MPMan F10
セハン情報システムの試作品とは全くの別モノ
日本の音響メーカー各社にも打診は行ったと想像しますが、結局韓国のサムスン(samsung)が製品化に動き世界初の小型携帯MP3プレイヤー「mpman」として発売されました。その後MP3プレイヤーは世界的なムーブメントになりますが、MP3にまつわる訴訟問題や著作権問題に猛烈に晒されました。紆余曲折しながらMP3が市民権を得るのは2001年のアップルiPodの登場以降、日本の音響メーカー各社がMP3製品を発売するのは更にずっと後でしたねぇ...