日々の雑感〜そもそも「讃岐うどん」「長崎ちゃんぽん」ってなに?

いまや全国どこでも見かける「讃岐うどん」「長崎ちゃんぽん」の文字看板を掲げるお店ですが、なかにはとてもとても看板倒れな味と見てくれなお店も少なくありません...と思ってしまうのはジブンが過度に”本場の味”というあいまいで身勝手な基準を持ち込んで考えてしまうからなんでしょうね。そもそも「讃岐うどん」「長崎ちゃんぽん」なる名称はご当地のうどん(ちゃんぽん)という意味以外の何物でもないですし、使われてきた歴史も長いこともあっていまさら商標として扱うのには馴染まないと言われているシロモノです。

それで「讃岐うどん」「長崎ちゃんぽん」を確たる意味もなく消費者の”本場の味”感につけこんだ看板がいたるところで使われております。そんなお店の代表格と言えばこんなお店です。

発祥も香川県に由来しない丸亀製麺が「讃岐」の頭文字を冠する看板を掲げるのは何故かと言うと...実のところ何だかわかりません。香川の地元や一部のマニアにはそんな状況に物申すヒトが多いのも心情的には同意してしまうのですが、そもそもを言い出すと馬鹿らしい話でもあります。

丸亀製麺のオフィシャルHPに飛ぶとロゴからして「讃岐」の文字を使われていません。なにやら後ろめたいモノを感じているのでしょうか....

 

こちらは創業地が長崎なので「長崎ちゃんぽん」を冠して何の問題もない...というワケでもなかった(過去形)のは紆余曲折の歴史にあります。公式な歴史はwikiを眺めてもらうとして、元々この会社は「ちゃんぽん」に遠慮があったのか「長崎ちゃんめん」という冠でスタート、1977年「リンガーハット」に名前を改め「長崎ちゃんぽん」冠で福岡県に1号店を出しました。当時のウチの近所だったので物見遊山に出かけた記憶がありますが、やっぱり「あれはチャンポンじゃなか」とか生意気な高校生で、「リンガーハットの長崎ちゃんぽん」のチェーン展開が始まっても長崎県境を超えると「リンガーハットの長崎ちゃんめん」はしばらく続きました。
1979年東京進出を開始しましたが90年代末迄の長い期間、豚骨スープが関東人には受け入れられず当時のリンガーハットは「醤油味のちゃんぽん」をメインに売ってる看板倒れな「長崎ちゃんぽん」屋で正直撤退は近いかも...とか思ってました。

店の看板は堂々「長崎ちゃんぽん」メインです

2000年初頭に神風的に豚骨ラーメンブームが到来、「醤油味のちゃんぽん」は姿を消していき関東圏でも本来の「長崎ちゃんぽん」で商売出来るようになり現在に至ります。ただ厨房改革に精を出した一時期、酷く味が落ちたときをはさんでリンガーハットの豚骨スープは臭みがほとんど感じられないマイルドな旨味スープに変貌しました。たぶんいまでも変わり続けているかもしれません。

「讃岐うどん」を他者からの借り物と自覚している丸亀製麺、「長崎ちゃんぽん」を広めたのは自分達だと自負しているリンガーハット、そんな風にも見えます。

昨今のブランド志向・文化オタクな意味あいでご当地の冠付きを”本場の味”と解釈することは、そもそも”どうでもいい話”を面白おかしく盛ってみせる芸に付き合ってるようなモンで、肝心のその店が美味いのか不味いのかにはさっぱり役にたちませんというのがホントのところです。昔ウチの親父が「名物に美味いもの無し」と口癖のように言っておりましたが、たぶんそういうことを言ってたんだろうなぁ、と今頃腑に落ちたりします。

一応念の為に言っておくと、丸亀製麺もリンガーハットもそこそこ美味い店だと思いますし、ちょくちょく利用させていただいております。