11月発売の三菱エクリプスクロスPHEVの余波〜ディーゼル搭載車が消えます

一昨年の2018年、NPO法人日本自動車研究者・ジャーナリスト協会(RJC)が主催する、2019年次RJCカーオブザイヤーに三菱自動車としては12年ぶりに輝いたエクリプスクロス、同年のグッドデザイン賞にも輝き、4年ぶりの新型車に並々ならぬ意欲を込めた渾身のクルマと言われました。

しかしながらセールス的にはイマイチ活気なく、昨年「待望の」クリーンディーゼルを搭載したのですが...やはり三菱ブランドだと難しいのでしょうか。

アメリカでは売上倍増のヒット作に

三菱自動車(Mitsubishi Motors)の米国部門の三菱モータースノースアメリカが発表した2019年の米国新車販売状況によれば、総販売台数は12万1046台。前年比は2.5%増と7年連続で前年実績を上回る好調。SUVでは「アウトランダー」3万7965台、「アウトランダースポーツ」(日本名:RVR』)が3万3644台、そして「エクリプスクロス」は前年度の2倍にあたる1万9661台を販売しています。もはや安全装備もおざなりな旧型然としたRVRがいまでもカタログ落ちせず残ってるのはアメリカで売れてるせいなんでしょうか。

※RVRに関して...「全世界90カ国以上で販売展開しており三菱自動車の稼ぎ頭と言っても過言ではない」とのご指摘がありました。正確な数字は持ち合わせませんが参考までに追記

 

PHEV搭載にあたって...

エクリプスに将来PHEVを搭載する旨の話は当初からあったのですが、アウトランダーと共用プラットフォームながら、どうやらリアオーバーハングの短い現行エクリプスクロスでは、後輪モーターの制御ユニットや電気系の取り回しをそのまま移植することが困難だったようで、右リアフェンダーに設置される充電口の寸法含めてリアのディテールを拡大する必要に迫られたらしいです。

それで化粧直しを撮られたのがコチラ

特徴的だったスプリットリヤウインドーが廃止され、一般的なシングルウィンドウに変更。水平基調に修正されたテールライトも含め後ろ姿は平凡とは言わないまでもずいぶんと一般的な見てくれに変わりそうです。

フロント側もライト廻りやフロントグリルがマイナーチェンジされそうです。

PHEV搭載車は、クリーンディーゼル搭載以上の重量増になると予想され(1800kg台?)見かけによらず重量級なコンパクトSUVになるのかも。

未だPHEVのシステム概要さえ発表がないのでなんとも言えませんが、2013年発表のXR-PHEVコンセプトで言われていた小型FFベースのPHEVを積んで、アウトランダーとの差別化、競争力のある価格を打ち出すのかもしれません。

MITSUBISHI Concept XR-PHEV 2013
ハイブリッド燃料消費率:28km/L以上/EV走行換算距離:85km以上/エンジン型式:1.1リットル 直列3気筒 直噴ターボチャージドMIVECエンジン/最高出力:100kW/使用燃料:ガソリン/モーター最高出力:120kW/バッテリー総電力量:14kWh/駆動方式:2WD(FF)/トランスミッション:トランスアクスル

実現すれば相応の競争力を持つでしょうね。
ただ限られた開発予算しか使えない三菱ですから、アウトランダーのPHEVシステム移植で行くのだろう〜お尻に収まらないから化粧直し、という流れに見えます。

前後重量配分は適正化されるでしょうが、フロントヘビーになったクリーンディーゼル搭載車でもプッシュアンダーなにするものぞと曲げてみせる「S-AWC」の威力であれば関係ない話やもです。

PHEV搭載で気になるのが、クリーンディーゼル搭載時にムリムリ内製(ジャトコ)のCVTを押しのけて社外導入したアイシン製8段ATが再び組み合わされるのか、という点でしょうか。ガソリンターボ搭載車では旨くチューニングされているとの評価高い内製CVTですが、CVT嫌いなヒトにはどこまでやっても駄目なモンです。

追記

なんだか先日発表されたトヨタ ハリヤー風になってしまいそうですね。
フェイスや側面のプレスライン等の処理を見ると、元々ハリヤーの方がエクリプスクロスに寄せたエクステリアのようにもみえますが... SUVはそもそもどこも似てますからね...

 

「一時的にディーゼル搭載車が無くなるみたい」なんですと

某販売店の店長曰く「エクリプスクロスPHEV搭載は11月」に伴い「一時的にディーゼル搭載車が無くなるみたい」だと言われているそうです。確かに冷静に考えるとガソリンターボに加えてPHEVとクリーンディーゼルの3本立てはあまりに豪華すぎるとは言えます。

昨年末にはディーゼル車の新規開発中止。主力車からの設定外しのスクープが日経新聞にが報じられてはいたんですが、三菱自動車からの正式発表はなかったはずなんですが....

そう言えば、国のクリーンエネルギー施策で電気自動車、HV、クリーンディーゼルには自動車導入費補助金が出るはずなんですが....エクリプスクロスのクリーンディーゼル搭載車はリストアップされていません!(同型式のクリーンディーゼルを搭載するデリカD5は今年対象に加えられています)

この理由については三菱自動車は一言も理由を述べていませんが、昨年既報のとおり今年にはディーゼル搭載車が消滅することは織り込み済みだったのかもしれません。ディーゼル搭載車の開発中止、設定廃止されたとしてもメンテナンスや当面の部品供給を心配する必要はまったくありません。なにしろ三菱ですから...だけど三菱だからなぁ...

ただ某販売店の店長は、ディーゼル搭載車が消えるのは「一時的に」と言っておりましたから、心配は杞憂やもしれません。

コロナ渦で国内生産を大幅減産

例外に漏れず三菱自動車も、新型コロナウイルスに伴う需要減少の影響で大幅な生産調整を実施しています。直近の発表では7月も稼働日数は1/3〜1/4に過ぎません。まぁ売れないモノを作っても仕方ないですから...

ただこれらの動きと連動するように販売店さんで起こっていることを見つけました。

エクリプスクロス未使用車・試乗車を一斉放出?

中古車市場のエクリプスクロスを見ていて気づいたのが、未登録車と走行3000km未満の車両が多くなってる(全国で200件以上)走行3000km未満の車両の詳細を見るとその多くがディーラー系で試乗車であることは明らか。

中古車扱いながらちゃんとディーラーの延長保証が付いて、純正ナビやバックカメラ、フロアマット等の基本オプションが組み込み済みで諸経費も割安な分けっこうにお得です。ただ支払い総額で100万円安も見込めた6月中旬に比べると価格が何故かジリジリ値上がり傾向ではあります。

現行ラインナップでオーダー出しても何時生産できるか予定も立たず、どうせマイナーチェンジが控えているなら早めの在庫整理に入ろう...という方針ではなかろうか、と推理しております。新車購入含めてパノラミックウィンドウが気に入った方、クリーンディーゼル搭載車を考えている方は急いだ方がいいかもしれません。かたやPHEVを待望されてる方はもう少しです。

あくまで伝聞情報や周辺の動きから勝手に推理したお話ですから念のため....