日々の雑感〜緊急事態宣言で自殺者は急増するか〜埼玉県を見てみる

緊急事態宣言の再発布で心配されるのが自殺者の急増。自殺のトリガーが経済的な困窮にある場合が多いのは統計上明らかで、新型コロナや交通事故より深刻な問題です。この10年は経済政策による安定雇用確保が進められた結果、自殺者数はリーマンショック以前のレベルまで下がってきました。たとえそれが「効率化」の名のもと正規雇用から非正規雇用へ等、中流階層のメルトダウンで補った結果に過ぎず、豊かさの実感を伴わないものだったとしてもトリガーが引かれる機会を減じてくれていたのは事実です。

自殺者数の推移

 

埼玉県内での自殺死亡率

埼玉県では「埼玉県自殺対策計画」さいたま市にも「さいたま市自殺対策推進計画」なるモノが二重に策定されていますが、中身は正直役に立つのか疑問ではあるのですが...埼玉県の自殺死亡率は全国平均を下回って推移しています。

 

埼玉県の市町村別自殺死亡比を見ると明らかなように、東京都心のベッドタウンとも言える沿線上の県南、さいたま市や所沢、川口などで自殺死亡率が低く、山間部や県北が高いのは地場産業の脆弱さや過疎化と無縁ではないでしょう。

皮肉にも新型コロナの感染者分布は、自殺死亡分布と相反しているワケですが「風が吹けば桶屋が儲かる」風に言えば、緊急事態宣言→飲食業ダウン→1次産業ダウンで農村部の主要産業へのダメージも大きいし、GoToトラベルの観光業に限らず郊外店舗も近隣からの「ヒトの流れ」で成り立っているような処が多いので、今後コロナ禍が数年続くと地方や田舎の風景は一変する可能性があります。

都心から仕事を持ち出して「テレワークを機会に田舎に移住して豊かな人生を」などと呑気ではいられないかもしれません。

ヒトの流れが止まれば経済は止まる。コロナ禍で疲弊した1年を過ごした今年、お役人が想像するより現実は厳しくヒトは稼業を失い、勤め人の首切りはもう待ったなしです。