はじめてのバイク 〜 はじめてのロングツーリング:原付日帰り300kmの旅

そういえば ”はじめてのバイク” については触ったことがありますが、”はじめてのロングツーリング”をお題にしたことはありませんでした。AboutMeでも「16才の誕生日の1ヶ月後に原動機付自転車免許を取得しHONDA CY50「ノーティーDAX」に乗り始めて」と書いてさらっと流しておりました。
なにやら絶滅危惧のバイクが世間で見直される雰囲気でもあるし、あらためてジブンの”はじめてのバイク” 、”はじめてのロングツーリング”を振り返ってみます。

原動機付自転車免許を取得

小学5年生の頃近所の原っぱで新聞配達カブに跨って以来「自転車の次はバイク!」と心に刻んだ小僧が16才の誕生日を迎えて、念願の原動機付自転車免許の試験を受けるために平日に学校をさぼる日取りを決め、いざ自動車運転試験場に行くのだが家人には普段どおり通学しているフリで”学生服”、試験場窓口で「今日、学校はどげんしたね?」と聞かれ「文化祭...」とかいう嘘もバレバレながら、ニヤッと笑って申請手続きしていただいたのを覚えております。

免許証を受理したら今度はバイクを調達しなきゃならん、と団地に使わなくなって放置されているバイクがあれば譲ってもらおう、と休日にウロウロ探しに行ったりしてました。なにしろ所持金:3万円足らずですからより好みする余裕はありませんでしたが、近所の自転車屋に貼られていた白黒の「店舗向けメーカー販促広告※」にホンダから発売された当時の「ノーティーDAX」が写っておりました。オフロードの急坂を土煙挙げて駆け上がっていく被写体になんとも心惹かれ「いつかはコイツを買いたいなぁ...」と思ったモンです。

はじめてのバイク 「ノーティーDAX」がやってきた!

なかなかバイクが見つからない日々が続いた某日、バイク雑誌を読みふけっていたトコロに親父がやってきて「バイク買いに行くぞ」と言い出しました。
なにやら「ノーティーDAX」の中古車があるという。連れて行かれたトコロに新車か?と思うほどの上物が7万円というプライスカードで販売されておりました。
交渉の末乗り出し6万8千円で購入決定しました。後にも先にもこれ以上のプレゼントを親父から買ってもらったことはありません。

HONDA CY50「ノーティーDAX」1973 当時新車価格:98,000円

はじめてのロングツーリング〜日帰り300kmの旅

それからは朝に昼に夕に休日は出掛けていたもんですが、そろそろ遠方まで遠出したくなった某日、大牟田に済む祖母の処に届け物をするという機会があり、往復180km足らずの日帰りツーリングを計画...どうせなら当時文通していた八代に住む友人宅まで足を伸ばしてみるか、と計画をアップデート。往復300kmの日帰りツーリングを決行することになりました。

時速30km平均で走っても往復10時間、実際に30km/h平均で距離を走るには少なくとも時速40km/h以上の速度で走行しないと計算通りには距離が稼げないし、1時間走行毎に15分の休憩を取るとして実質8回分:2時間のロス、祖母の家で昼食1時間、八代の友人の処で1時間....とか考えてると夕飯19時までに帰宅するとしたら、出発は早朝5時で決まりです。

陽がまだ昇りきらない朝、60km/hで快走スタート。久留米までは予想以上の速さで走り抜け、その後国道3号線にクルマが混雑しだし、途中タンク上のコロナツーリングバックに忍ばせた地図を読み誤ってルートをそれるトラブルもありの、その後ほとんど休憩もとらず、大牟田の祖母宅に着いたのが午前10時前、届け物を渡し朝食とも昼食ともいえない時間に腹を満たし、そそくさ八代の友人宅を目指します、

友人宅を見つけるのに手間取ったものの、正午前に到着するも友人は留守。
急に決まった”お届け物ツーリング”のオプションで、連絡する暇も手段もなかった時代にはそんなことはフツーにありました。後日「なぜ待っててくれなかった」と手紙にありましたが... 混雑必至の道路で地図を頼りに見知らぬ土地を 予定通り平均30km/hで帰宅路150km(5時間)を走って夕飯刻までに帰宅できるか? と考えるとかなり怪しい... と当時のジブンもしばらくは考えたであろうか、友人宅の家人に「よろしくお伝え下さい」と申し伝え帰宅路につきます。予感通り昼過ぎから国道3号線は混雑、夕方には渋滞発生でなかなか進まず、帰宅までにたっぷり6時間以上掛かり到着は8時過ぎでした。しかしながら初めての300kmツーリングをノントラブルで走りきった「ノーティーDAX」がヒトキワ愛おしく思えた想い出でもあります。

 

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ついこのあいだのような語り口でありますが、半世紀近く前の出来事で当時マメマメしく記していた日記帳がなければ定かでない記憶だけでは語れないトコロも多々あったりします。スマホやグーグルマップがあれば当時のようなハプニングは回避出来たかもしれませんが、ハプニングを面白おかしく語れる話もなかったろうし、文通なんて時代錯誤は起きるはずもなく、詳細な情報を知り過ぎたらそもそも”はじめてのロングツーリング”は実施されなかったやもしれません。予備知識も乏しく今よりずっと簡素な大判1枚のロードマップ頼みだけで初めての300kmロングツーリングに不安は無かったかというと...昔はそんなモンだとお気楽に走ってました。そういえば「乗ってみたい」と言う中学時代の同級生を空き地に連れて行き、ああだこうだレクチャーして走らせたのもこのバイクだった。いまではそんな空き地を探せないくらい住宅が密集しています。

バイク購入で手付かずに済んだ所持金で買った「アライヘルメット」や「コロナツーリングバッグ」だとかの会社がさいたまの我が家のそばにあるのもなにかのご縁か、と思ったりしています。