ネット配信コンテンツの虚構〜楽曲販売ビジネスの終焉

10年前に当時本格化したインターネット環境社会における音楽コンテンツのビジネスモデル変遷の一部として「ネット配信コンテンツの虚構〜楽曲販売ビジネスの器」を記事にしてみました。

自ら90年代末に音楽産業のネット配信ビジネスを模索した末の結論は「アーティストにとって楽曲換金ビジネスは成立し難い」であり、2007年当時、ジブンは代替ビジネスモデル(というよりツナギ収益モデル)として「MUSICPOSCA」を提示したこともありました。そしてその後の経緯が証明しているように予想どおり「楽曲配信」はそれまでのCD販売の代替手段にはなりえていません。

楽曲販売ビジネスの推移
 「音楽CD・有料音楽配信の売上動向」より抜粋

昨年「Spotify」という音楽ストリーミングサービスの日本法人立ち上げに参加しないか誘われていました。果たしてJUSRAC以上に既得権を主張するレコード会社ばかりの日本国内であちらと同じような仕組みが実現するのだろうか...

大昔に着メロサービスの立ち上げに知恵を貸したオヤジから電話がありまして「もう着メロだめだから、オルゴール楽曲使って何か出来ない?」と聞いてきました。このオヤジ打ち込みのオルゴール楽曲使って「着メロで5億円儲けた」が自慢なのだが、ジブンには「ありがとう!」だけで何の見返りもNothingな業界古株オヤジ。どの面下げて電話してきてんの?と思ってしまうのだが、情報提供に契約があったワケでもないし、いかんせん10年以上昔の話である、こちらも忘れたフリして大人の対応にならざるを得ません。

「もうすぐネットで流れる楽曲はタダになるから、変な仕掛けにお金使うことないですよ」とSpothify上陸を匂わせて言うと...「絶対そんなことにはならない!」といきり立って電話を切る始末。いきなり電話してホントに失礼。

しばらくするとさっきのオヤジからまた電話「UNIVERSALの社長に話したら”絶対そんなことにはならない”と言ってた!!」それならそれでいいじゃないないですか(Spothifyがホントに始まるか決まってるワケでもないし)それから一方的に10分以上まくしたてられていましたが、もうほとんどコチラは聞いてません。「勝手にしてくれ」というモンです。

かように音楽産業の端っこにしがみついてる人達にとっては厳しい時代、楽曲CDがもはやアイドル握手券のおまけでしかない世の中です。ジブンたちが「音楽配信がビジネスを変える」と夢いっぱいに語っていたのは20年前、「このままでは音楽配信はアーティストに不利益しかもたらさない」と悟った10年前、「正味の楽曲を販売する」というビジネススタイルはもはや終焉を迎えております。