GW山陽追突事故〜高速事故でクルマの追突安全性能は無力です

今年のGWは高速道路での重大事故が頻発していたような気がします。先日の「GW関越追突事故」数日前の山陽自動車では中型トラック追突による多重衝突事故で車列最後尾乗用車の親子3人が死亡する事故がありました。

ニュースを見てるときは事故現場が夜間だったのもあって、車列最後尾乗用車とはてっきり軽自動車だと思って「やっぱり軽自動車だと潰れ方が尋常ないね...」とか話していたのですが、ネットNEWSやYoutubeで確認してみると、どうやら最後尾のクルマは TOYOTA PASSOです

 

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追突したのが中型トラックとはいえどれ程の速度だとこれだけ酷く潰れるのだろうか... それともやはりコンパクトカーだからなのか?

passo00http://toyota.jp/passo/safety/passive/
メーカーは衝突安全性能を強調しているのだけれど

今回の追突でどれくらい潰れたかを映像から読み解くと尋常じゃないことがよくわかります。

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しかしながら
事故後の車両ではキャビン後方(荷室・後部席)が完全に潰れました。

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メーカーが謳う「妥協のない追突安全性能を追求」を過信してはいけません。メーカーの謳い文句など高速道路事故では全く無力なんだと認識しましょう。エアーバッグの数を増やしたくらいではお茶濁しにもなりません。「燃費向上に直接つながる軽量化を徹底的に追求しました」というボディーもキャビンを守れないのであれば「クラッシャブルゾーン」がほとんど存在しないコンパクトカーで5人乗車は危険でしかありません。

おもしろがる気はありませんが、省スペース・コンパクトを追求してつくられた TOYOTA iQ だったらどうなるんだろ...とか想像したらそら恐ろしい限りです。

 

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PASSOが追突された状態にそっくりです

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昔話題になりましたが後席は棺桶同然です

たぶんこのクルマを設計したときもそれなりに「妥協のない追突安全性能を追求」したと思うのですが、ふっとアタマを切り替えると渦中の「三菱自動車〜燃費偽装」事件が浮かぶほど「衝突安全性能」基準の評価は大丈夫なんだろうか...とか疑問になったりします。

先月「 高速道路 最高速度120キロへ 警察庁引き上げ方針」が出されたばかりではありますが、重大事故件数を増やすだけな気がします。

警察庁と国土交通省、大学教授らによる調査委員会が七つの高速道路で事故発生状況を分析したところ、設計上などの条件が良い区間では最高規制速度が100キロを超えても安全性に問題はないとの結果が得られた。

”100キロを超えても安全性に問題はない”というのは「クルマの性能としては安全性に問題ない」くらいの話しかしていないのではないか?

経験上燃費が良いのは90〜100km/h走行時で、それ以上では燃費が悪くなります。たぶんこれまでメーカーもそういう設定設計をしてきてると思いますから、これだけ燃費にうるさい国民の多くは120km/h規制になっても従来通りの走行をするはずです。ひるがえって時間に追われる貨物車や一部のお馬鹿なドライバーは躊躇なく速度の上乗せに走るかもしれません。

そうすると現在より20km/h内外の速度差のあるクルマが増えるわけで、低速車、高速車の運転マナーの悪さとあいまって事故の起こる確率は上がるのではないか? と思います。

【青山繁晴】<高速道路>最高速度120キロへ 警察庁引き上げ方針 動画 映像

 

 

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