身近の新型コロナ感染者3例のエセ科学的所見

今年の夏までは、なかなか身近に新型コロナ感染したヒトが現れないので、世間並みの実感が沸かなかったのですが...、6月以降ポツリ、ポツリと身近なトコロでも新型コロナ感染者が出はじめ、患者となった知人と話すほどに「なんだかやっぱりワクチン打っとこう」という気になって8月にさいたま市の集団ワクチン接種に出掛けたのですが、最近になって知人3例目の新型コロナ感染者が現れました。

年齢・性別 48歳・女性A 51歳・男性B 64歳・男性C
感染日 2021.6.22 2021.7.2 2021.8.某日
ワクチン接種 無し 無し 無し
症状等
程度
期間
発熱38〜39※1
中等症診断で入院
入院1週間/休職2週間
発熱38度台※2
軽症判定で自宅療養
10日程で回復
発熱39度〜※3
自宅療養
2週間継続中
基礎疾患等 特に無し 肺気腫経験者 糖尿病
体型 痩せ型 標準型 肥満型
嗜好 非喫煙者
飲酒 Heavy
喫煙 Heavy 非喫煙者※4
飲酒 Heavy
後遺症 疲れやすい
頭痛頻度が増した
味覚障害が治らない
疲れやすい -

※1:3日位微熱続き39度で咳が酷くなりPCR検査、陽性反応。保健所指示で入院
※2:1週間位微熱が続き、味覚・嗅覚障害とめまいでPCR検査、陽性反応。入院希望出したが断られて自宅療養。38度代の熱で一時脱水症状出たものの10日目に平熱に下がる。
※3:近親者から感染、39度以上の高熱で夜中も咳が止まらない。水も食事も体が受け付けず(吐いてしまう)2週間で体重25kg減、保健所も病院も対応してくれず市販の解熱薬だけで自宅療養中でまだ重症化リスクは消えていません。 ※4 20年位前まで喫煙者

自宅待機を強制される感染者数が13万人「もし感染したのが今だったら死んでたね」と話す女性Aですが、男性Cはまさに予断を許さない状況です。廻りからは一番重症化しそうだと言われていた男性Bは、PCR陽性判定の翌週末には「疲れやすくてまいるよ〜」とぼやきながらもほとんど回復。発熱と「すごく疲れる」以外に共通した症状を見つけにくい新型コロナ感染、健常者っぽい女性Aですらハードワークが続くと免疫低下で相当やられてしまいます。

先月末、読んでてイラッと来た記事がありました。

文中

中高年のワクチン接種率上がる

重症と死者はワクチン未接種と肥満、喫煙とわかる

自己責任ですねの共通認識

「肥満型、喫煙者はコロナ感染すると重症化する」と言いたいらしく(確かに男性Cは3拍子揃ってる気はするが)こんな短絡説明で納得するヒトがいるとすればそれはちょっとおかしい。カウンター的にヘビースモーカーの男性Bが軽症で済んだ理由を考えると以下の論文報告にぶち当たります。

フランスから新型コロナウイルス感染第1波について6,600万人を対象とした調査結果が2021年7月15日に報告されました(Semenzato L, Lancet Regional Health 2021, 7/15

概要:人口10万人あたりで、入院治療を受けられた方は134人、死者は24人。
平均入院日数は8日で、女性に比べ、男性の入院率は1.38倍、死亡率は2.08倍高い。
40~44歳に比べ、85歳以上では入院率が5倍、死亡率は100倍以上も増加。
死亡率が最も高い基礎疾患は「ダウン症」で、入院率が7倍、死亡率が22.9倍。
その他の死亡率が高い基礎疾患は、「精神発達遅滞」で7.3倍、「腎移植」で7.1倍、「肺移植」で6.2倍、「透析患者」で4.7倍、「肺ガン」で4.0倍の順。
「喫煙者」では入院率は0.86倍に減少し、死亡率は1.1倍に増えるという特殊な様式。
特記すべきは「高脂血症でスタチンを服用」されている方の入院率は0.89倍、死亡率は0.84倍に低下すると報告されています。

 
「なんだ喫煙は、コロナ感染で重症化防止の効果あるじゃん」などと馬鹿丸出しな話はしませんが、昨年初頭新型コロナ感染初期に医者や感染症の専門家と称する少なくないヒト達が何の根拠もなくそれまでの経験則だけで「インフルエンザと同じ、暖かくなったら無くなりますから」などと嘯いていたように、専門家ですら憶測でモノを言ってるフシがある、というか....ホントのことが解らないままいい加減に辻褄のいい話を盛ってる、というのが現状の新型コロナ感染話の実態でしょう。また「高脂血症でスタチンを服用」というのは、典型的な例としては高コレステロール判定を受けた人に「血流をサラサラにしましょうね」とか言って処方されるのがスタチン系の薬。コロナ感染で発生するという血管の血栓詰まりを予防してくれるのやもしれませんね。

確かに「肥満は重症化する」傾向にあるらしいのだが...

 不思議なことにウンと肥満なヒト程重症化するというワケではない。
BMI18.5%以下だったら極端には重症化しない」とは言えそうだ。

ちなみに和歌山県で報告されている「新型コロナワクチンの効果等について」の資料によれば、ワクチン2回接種後の新型コロナへのS抗体値は、痩せ型より肥満型のヒトの方が高い傾向にあり、そのまま「デブの方が感染しにくい?感染しても重症化しにくいかも...」と読めてしまうこともあります。