「基本特許を無償公開」で花開いたカセットテープの時代〜SONY開拓者魂の一端

懐古的に小さなブームを作っている)、発明者オランダのLou Ottens氏は昨年3月6日亡くなりました(享年94歳)が、彼は蘭:フィリップス社でコンパクトカセットを発明し「互換性を厳守することを条件に、基本特許を無償公開」したことで、事実上の標準規格の記録メディアとしてその後の世界に爆発的な普及を生みました。

「基本特許を無償公開」で花開いたカセットテープの時代

フィリップス社が「互換性を厳守することを条件に、基本特許を無償公開」したお話にはサイドストーリーがあって、SONYが商魂逞しく規格化競争で粘って粘ってロイヤリティーを無性にさせたというお話があります。(Sony History :第5章 コンパクトカセットの世界普及 に詳しい)

残念ながら国産初のコンパクトカセット・レコーダーは、アイワのTP-707Pとされており、数ヶ月遅れの1966年11月にソニーのTC-100が発売されます。もともとアイワがフィリップスのパクリ非互換規格「MAGAZIN 50」カセットで、1964年に専用レコーダーとしてTP-707を発売していたおり、フィリップスのコンパクトカセット規格に準拠して改造させたのがTP-707Pと言われています。

早いもの勝ち...なコンパクトカセット国産1号機です。

国産初号機の栄誉は逃しましたが、SONYがその後のラジカセ、ウォークマンと続くコンパクトカセット製品の開発トップメーカーであり続けたのは歴史が証明しているトコロです。更に言えばこの分野で国産各メーカーが食い扶持を得た功労者であったのは間違いないです。

SONYはコンパクトカセット機器だけでなく、自ら磁気メディア製品(カセットテープ)を手掛けておりましたが、競合するTDK、日立MAXELL、富士フィルム等に比べて頭抜けた性能を発揮する製品...という印象はありません。

 

「基本特許を無償公開」で花開いた3.5インチ の時代

SONYが貢献したもうひとつの事例です。

現在の用途としてはUSBシリコンスティックに置き換わって20年前にはほぼ消滅した3.5インチ フロッピーディスクですが、SONY自らが考案規格した3.5インチ フロッピーディスクの基本特許を今度は自ら「無償公開」して業界分野での標準化を押し進めた製品です。(Sony History :第13章 晴れて国際規格 <3.5インチ・マイクロフロッピーディスク> に詳しい)

1984年当時、5インチHDDフロッピーディスクの次の量産化製品として2.5インチ、3インチ、3.5インチ等のサイズのフロッピーディスクが候補に上がっていた時代。当時日立グループの一員であった会社都合ということもあり”松下・日立・マクセル”が規格製品化していた3インチを筆頭候補として調査していました。しかしながら会社としてはSONY規格である3.5インチ フロッピーディスクの開発・量産検討を決めます。なぜならSONYが「基本特許を無償公開」することを打診して来たからで、部材供給メーカーや組立メーカーもこぞって参加を表明しました。上記のSony Historyで語られている「根本的な仕様の良さで、苦しい標準化競争を勝ち抜いた」というにはその規格原案仕様は少なくない問題を抱えていましたが、互換性を逸脱しない範囲で各製造メーカーがそれぞれ改良・仕様変更することで実用度や信頼性を確保、向上させました。ですがやはり決めては「基本特許を無償公開」したことで世界標準となったことが大きいのは言うまでもありません。

SONY自らフロッピーディスク製品を製造していましたが、ここでもコンパクトカセット製品同様、頭抜けた性能を売りにしていたワケでもなく、あくまで”標準ディスク”であり続けました。だからこそエンジニア時代のジブン達の会社では腕のふるい様もあったとは言えます。

SONYという会社は、その分野を切り開くパイオニアであり続けましたが、必ずしもNo.1の製品を残し続けられた会社ではありません。ビデオカセット規格の標準化競争のときはその技術力を疑わず突き進んで販売的には惨敗しました。1991年に発表されたMD(ミニディスク)は、コンパクトカセットに取って代わる記録メディアとして発売されましたが、長時間録音モードの74分ディスクでは規格を十分に満たさない製品が市販されていたり、生産技術力という点では疑問符がつくメーカーだった側面もあります。(当時のTDK、マクセル製の74分MDでも規格基準NGな製品が市場に出回っていましたが...)

それでもSONYが、チャレンジング・スピリット溢れる会社であった事には敬意を表せるし、現在のSONYもそうあって欲しいと願っています。

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