歌に寄り添う記憶8〜もうひとつの 海・その愛/加山雄三

1970年頃、自分には加山雄三サウンドフリークだった時期があります。
ちょうどパシフィックパークホテル倒産事件で莫大な負債を抱え、加山さんの人気は地に這うほど。

それまで音楽はラジオとテレビから流れてくるものだったのが、念願のステレオセットを買って貰ってからは、洋楽、歌謡曲、フォークソングを問わず古い楽曲を漁っており、とりわけずっと幼い頃に聴いた加山雄三サウンドの未聴楽曲の掘り起こしに夢中でした。何を今更加山雄三?そんな頃だったので周囲には奇異に映ったやもしれません。

1974年頃? 久しぶりにテレビ出演した歌謡ショーの模様を、録音マイクをテレビに向けてテレコ録音したテープ音声が残っていました。まだ暗く長いトンネルにあった時期に作られたであろうその曲の歌詞はなんとも切ない内容で”加山雄三らしい”とは言えないものでした

 

帰る当てなく 彷徨う僕の心慰める
光る海を見つめ 遠い想い胸に

過ぎたことはすべて忘れよう辛くても
傷つき合わずに 世の中は暮らせない
月日が心の傷跡を埋めるだろうから...

いつか会えると信じていた 僕のこの胸で君を幸せに
だけど 今は何もない 夕焼けが空染めていく...

過ぎたことはすべて忘れよう辛くても
傷つき合わずに 世の中は暮らせない
月日が心の傷跡を埋めるだろうから...

いつか会えると信じていた 僕のこの胸で君を幸せに
だけど 今は何もない 夕焼けが空染めていく...

 

1976年、加山雄三が元祖湘南サウンドとして注目され「海 その愛」で再ブレイクしますが、それがあのときの”加山雄三らしい”とは言えない曲が元になってるのはすぐに気がつきました。やっと”加山雄三らしい”歌詞に書き換えられて堂々再ブレイク!以降は毎年のように新しい加山雄三サウンドを響かせてくれております。