懐かしい話と意外な顔〜切磋琢磨の日々だったもの

今日はひょんな事から懐かしい話をする機会がありました。

DVDオーサリングの打ち合わせに出かけた折、たまたま同席していた帝人メモリーテックのN氏から打ち合わせ終了後に「いやぁ、お久しぶりですね!」と話しかけられて、正直、誰だったかわからずまずいなぁと思いながらも調子合わせて人違いだったらもっと気まずいだろうなぁと判断、「どちらでお会いしましたっけ?」 

15年くらい前に中国の樹海と上海で2度お会いしているとのこと。
そう言われるとかすかな記憶が浮かび上がってくるもので、当時自分の会社のフロッピーディスクのクッキーをOEM供給するためにテストで持ち込んだ中国国営工場に来ていた「帝人」のエンジニアさんです。


フロッピーディスクの「クッキー」というのはケースの中身のことです。

自分がOEMセールスに海外渡航を始めたのは、会社が3.5インチフロッピーディスクの本格生産に入った頃で、「日立マクセル」「TDK」「富士フィルム」という国産の有名どころや米国「Verbatim」(現:化成バーベイタム)等が世界各国に点在するフロッピーディスク組立工場にフロッピーディスクの「クッキー」を売り込みに来ていました。

「帝人メモリーテック」も有力なライバルでした。うちでもヨーロッパはもとよりメキシコ、インド、中国といった振興国に出かけてセールスエンジニアリングしていましたが、自社工場で出せる性能や歩留まりがなかなか現地で再現できなくて(現地のオンボロ工場、がらくたの様な機械だったりしましたから...)かなり勉強させられました。

そのうち「日本コロムビア」「コロムビアマグネプロダクツ」なんてブランドで国内展開に力入れてもしょうがないと言うことになっていましたし、開発指針はそんな新興国のオンボロ工場の機械でも基本性能と歩留まりが出せるメディア作りに向いていったのは言うまでもありません。

OEMレースは、薄膜塗装は芸術的だなぁと感心していた「富士フィルム」が先んず脱落、良くも悪くも中庸な「TDK」がなんとなく消えていき、トータル性能で抜きん出ていたはずの「日立マクセル」も新興国工場の劣悪環境に歯が立たず、安値販売の米国「Verbatim」もだんだん賢くなるお客から遠ざけられて、終盤はうちと「帝人メモリーテック」の一騎打ちみたいな様相でした。1993〜4年くらいの出来事です。

「コロムビアマグネプロダクツ」製のフロッピーディスクは陽にかざしてみるとすぐに解ります。向こう側が透けて見えるんです(笑)それとよく眺めてみると斜横方向(塗装方向)に「スムーザー跡」と呼んでいた塗りムラが残っていたりします。1995年には1億枚くらいフロッピーディスクの「クッキー」を海外輸出しましたから、意外な海外ソフトのフロッピーディスクの中身がウチの製品だったりしました。

結局、2度お会いしたいずれの中国国営工場もうちのクッキーを採用していただいたらしく、大口契約だったこともあって「歩留まりに競り負けた」事をしっかり記憶していたそうです。

あぁ、もっとひんしゅく買って覚えていただいてる方いるんだろなぁ

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懐かしい話と意外な顔〜切磋琢磨の日々だったもの” に対して1件のコメントがあります。

  1. N氏 より:

    先日はどうもありがとうございました。ブログの方も楽しく拝見させていただきました。 中国に同行しておりました上司(退職)に話をしたところ”歩留まりで負けたんじゃないよ、価格で負けたんだよ”と申しておりました。ことの真相は遙か彼方にありますが懐かしいかぎりです。

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