10年越のカングー考察〜ふわっとゲインが起ち上がるブレーキが好き〜国産車と異なる欧州車のブレーキ考

半月程検査入院していた我が家のカングーを引き取りに行って来ました。この10年でこれ程長くカングーから離れて生活したことはありませんでしたが、改めて慣れ親しんだクルマにホッコリしております。

そこで何故このクルマに10年もこだわり続けたのか改めて考察してみました。もちろん独善的レポートに違いありません。

今年は試乗会以外にもいろいんなクルマをドライブする機会が多かった年で、先日まで代車だった日産ノート、日産ブルーバードからレクサスCT200h、ポルシェ・カイエンまで最新型とは言えない10台ほど。

イチバン違和感が無かったのがポルシェ・カイエン、エンジンマネージメントは大したことないですが操作系のキモがなにやらカングーライクというかやはり欧州車です。深夜から翌日に掛けて1600kmを走っても腰が痛くならないシートはさすが、国産車ではこうはいかないです...

カングーの【ブレーキ・フィール】

既に10年選手なロートル車ですが、ブレーキ廻りのパーツは定期的に交換しているせいかかなりきっちり仕事をしてくれています。なかでもじわっと踏み込んだときにふわっとゲインが起ち上がるフィールは丸く優しげながらもきっちり減速が掛かり、踏み込みストロークに比例してブレーキの締り具合が変化する様は国産車では味わえません。※

※10年も乗り続けると”慣れる”具合が仏車寄りで「ブレーキはじんわり踏むモノ」というのが習い性になっていますから、国産車乗りの方とはかなり感覚が違うと思います。

国産車だと踏み込みから有効なゲインが得られるまでの空走感が大きくて、その後のゲインの立ち上がりが急激なので、そこから踏込ストロークで制動制御するのが難しいです。「慣れだよ、慣れ」それは確かですが、疲労困憊時や瞬時の判断が必要なときに国産車だと微妙な踏込ストロークを加減するのはやはり難しいです。

国産車が減速停止するとき、我が家が想定するブレーキポイントのかなりな手前からブレーキランプを点灯させているのは、有効なゲインが得られるまでおそるおそる踏込ストロークを増す作業に費やしているからで、何気に「慣れは」は無駄に小さな疲労要因を蓄積させる要因になってます。

そうカングーのブレーキは疲れにくいし、雪道でも制動制御しやすいし、思わず急ブレーキな場面でも意図しない事態になりにくいです。絶対制動性能に興味はないしその辺に過不足感じたこともありません。

 

感覚的なブレーキ・フィールの対比

ずっと国産車を乗り継いだヒトが欧州車を初めてドライブすると「いきなりブレーキ効き過ぎ!」と騒ぐのは、有効なゲインが得られるポイントが国産車よりずっと手前だからで、国産車のように踏むといきなり急制動な「カックンブレーキ」に感じてしまいます。国産車をブレーキ調整して有効ゲインまでの踏込ストローク量を調整してもフットレバー比やマスターシリンダのブースト比は変わらないので単純に起ち上がりゲイン強烈な扱いにくいシロモノに成ります。

この辺は設計思想が違うんだろうなぁとしか思えませんが、あくまでもブレーキ素材も違えば、着座姿勢も違うクルマのワタクシ的比較論評です。

それにしてもポルシェ・カイエン、フツーに乗りやすいクルマでした。現世代カングーはどうなんだろ、ちょっとの試乗くらいではなかなか本性はわかりませんから....