音楽は定価1曲100円のビジネスに〜CCC・999円CD・邦楽53タイトル発売

既に先月中旬に発表されているのでご存じの方も多いと思いますが、本日からカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、EMIミュージック・ジャパン(東京・港)をはじめとしたレコード会社など5社と組み、邦楽のプライベートブランド(PB=自主企画)音楽CD・ベスト盤53作品を999円で、「TSUTAYA」限定で販売するらしい。

※まだ邦楽タイトルが掲載されてません(10/8 AM9現在)

昨年末にメジャーレーベルとタッグを組んで「ザ・ベスト・バリュー」と銘打った洋楽のPBブランド音楽CDを一気に60タイトル出したときから、「1曲100円の音楽ビジネス」はバッタ屋商売の違法CD価格ではなくなりましたが、70-80年代モノといえども邦楽でも大展開となれば既に先行流通している着うたフル・ミュージックダウンロードの低価格化とあいまって、音楽シーンは「定価1曲100円のビジネス」になったと言える。「定価」という文字自体は消えて久しいけれど、永らく「再販売価格の維持」を訴えてきた業界は「楽曲の値段」をどれもこれも一様に扱ってきました。「そもそも歌手や演奏家が「アーティスト」と横文字扱いされる職業ならば、音楽(作品)が横並びの定価で扱われる必要もない」と強弁できなくもないが、CDといえども「複製品=レプリカ」である以上、市場で広く展開しようとすれば既存流通価格に準じて取引されておかしくないと言えます。

そんな今回のCCC・PBブランドの999円音楽CDのコストの内訳を勝手に推察すると下図のようになります。

PBブランド直取契約なので小売店の仕入価格は売価の50%程度でしょう。 楽曲印税をお約束の5%(7%程度の場合もありますが)、現在の激しいコスト合戦渦中のCD製造工場の取引価格は、CCC売上目標「20万枚53タイトル一括発注」を契約条件にすれば単価60円程度まで落とせるのではないかと思います。(台湾・中国のベンチャー系CD工場を使えば40円アンダーも可能か?) そして残りがレーベルの粗利ですが、当然デジタルリマスター位の仕事はしてる(外注?)と思いますし、こんな低価格で販売するにあたってはアーティストさんの事務所へのネゴシエーションも必要ですから、座って丸儲けというわけではないでしょう。

CCCが「53タイトル・20万枚」アーティストあたり平均5,000枚弱を完売したところでアーティストあたりの印税額は250,000円。市役所受付の地方公務員やってるお姉さんの月給額に負けてるのが悲しい。もちろんアーティストの食いぶちはCD売上の印税だけではないので途方に暮れる話ではありませんが、日雇いのように仕事(公演)をこなしてナンボの世界、というだけではとてもモチべートを保てない今日の音楽業界です。