燃料の森植林事業〜急がば回れ、森人との共生を考える

「ECO」「緑の森」をキーワードに、温暖化問題〜CO2削減キャンペーンがブームですが、大幅な規制強化政策を実施しなければCO2の25%削減など出来ない事は明明白白な現実で、仮に北海道を森で埋め尽くしたところで解決する話ではありません。 それでは身も蓋もない話、というわけでもありません。普段からそういう意識を持つようになることが「変わる」ということです。 もちろん弊害もいっぱいありますが、それは個人がよく考えてみることでしか解決しません。

私達が支援する吉田先生達のマダガスカル植林部隊(あくまで通称)は、原生林の復活・保存を目的に活動していますが、 古来からの原生林とそこを住処にする動物達の「生物多様性」を維持するのが主な任務、とも言えます。育ちの遅い原生種を扱うので「温暖化問題〜CO2削減キャンペーン」にはあまり寄与しないだろうなぁ、というとこです。マダガスカルで原生林が激減してきた主な原因は、森に住む人達の「燃料」需要よる伐採です。 世界の森が現在あるのは、皮肉にも人類が「石炭」「石油」という化石燃料を使うようになったおかげです。ただ最貧国に属するマダガスカルの多くの人達にとっては、現在に至るも経済的にそれらの輸入品を使う余裕がありません。 また彼らにとっては、「炭」づくりが主な収入源になっています。その他、文化的にも森との濃密な関係を持って生きている人達がそこにいます。

原生林を守ること、森人達の暮らしを守ること、を成立させるために、「木を切ったら植林する」教育も同時に啓蒙していますが、なかなか木の成長が追いつきません。私達にお金の余裕があったら次にしたいこと...これ以上伐採による原生林の減少を食い止めるため、成長の早い木を使って「燃料の森」による植林サイクル※を彼らに学んでもらいたい、と考えています。あとはですねぇ 「炭」に適さない植林樹でも対応できるように、日本ではすでに遺物になりかけている「練炭」「豆炭」の製造技術を伝授する、というのも一考だと思っています。

「国立公園に指定して原生林を保全しよう!」とか、「石油をODA輸出しよう!」とか、急ぎ過ぎる展開を実のところ彼らは望んでいないし、失敗します。 (今回のクーデター騒ぎのようになります)  自分らの知恵の浅はかさを思いしる事の多いマダガスカルです。

※木を燃やすときに発生するCO2は、その木の成長時に吸収したCO2と同量(カーボン・ニュートラル)なので、植林をサイクル化することで温暖化問題に影響しません。