フェイスブック実験は人も常識も歴史も変えるのか〜突きつけられる人との関わり合い

連日、中東・北アフリカの「ジャスミン革命」の話題が報道され、今度は本丸?である中国に飛び火する勢いです。主役とも裏方とも言われるFACEBOOK(フェイスブック)の威力は人も常識も歴史も変えつつあります。いづれも海の向こう側のお話ですが... 日本国内ではまだまだ西洋かぶれ風潮だけでは世間の風評を気にするシャイな国民性の壁を乗り越えるには至らないようであります。

 

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)

posted with amazlet at 11.03.08
デビッド・カークパトリック
日経BP社
売り上げランキング: 54

 上映されている映画の人物像や実態とは相当に違うと言われていますがそんなのはあたりまえ。それより『自分はいかに重要な人物であるかを世界に向かって訴えかけるためのパフォーマンスの舞台」を本質とするフェイスブックを作ったのが、実際には「コミュケーション障害」とも揶揄されるほどシャイな性格を持ったを人物だったというのが面白いです。天才と持ち上げられているデビッド・カークパトリックという人は、もしかしたらちょっとだけ「頭にひっかかるコト」に拘っているうちに廻りが巻き込まれて、その御輿に乗ったお調子者だっただけではないのか? とも思えてしまいますが、実際に大きくコトが動くときというのは多かれ少なかれそんなものです。

「ソーシャルネットワーク」という言葉の起源はうかがい知れませんが、インターネットが情報インフラとして本格化する21世紀に入ってその「サービス」も立ち上がって来たと認識しています。昨年末にその国内利用について眺めていたころは「さもありなん」という心境でした。


「どのSNSを使ってる?」オリコンSNS調査 2010.12.24
10代〜50代の男女1000人を対象とした「ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に関する実態調査」の結果

やはり日本では秘匿性の高いアングラ系SNSが人気なのかなぁ、と。「麻木久仁子不倫疑惑騒動での視点〜大学生はTwitterをフォローしない」でも書きましたが、Twitter も情報インフラに過ぎないので迂闊な使い方をすれば問題も起こります。そもそもSNSを癒し系のように取り扱う風潮自体が問題なのですね。

FACEBOOKがその他のSNSと決定的に違うのは「実名登録」です。選択的に情報の公開範囲を決められると言っても原則的に個人やコミュニティの秘匿性はないです。FACEBOOKが米国で圧倒的に支持されるのは「責任の取り方に対する覚悟」が日本とは全く違うからだと思います。プライバシーの一線に拘るのもこの覚悟あればこそだと言えます。そしてそれが徹底した個人主義の根幹とも言えますしイコール、心象は「孤独」を覚悟する故、繋がりを求めるという反動も大きいのではないか、とアメリカの友人も感じています。


2010年6月のコムスコア社調査データ
米国ネットユーザーの70%以上が参加していることになる。
2011年現在の統計はSocialbakersサイトで確認できます

「国民性の違い」だけでFACEBOOKにそっぽを向くことはできない状況になっています。ジブンは「グローバルスタンダード」という言葉が嫌いです。しかしながら世界と話をするためのインフラとして確立しつつあるFACEBOOKという作法には、いくばくかの譲歩をしても参加する価値が生じていると思います。

欧米大好き人間達によってもたらされたプライバシー偏重の考え方は「個人情報保護」名目で更なる秘匿性の深淵にお墨付きを与えてしまっていますが、シャイな国民性を臆病にさせるか逆ギレ増長させるだけの効果しか見えてきません。FACEBOOKはそんな国民を変えられるだろうか?