「相対貧困率16%」 所得の分布状況〜平成22年国民生活基礎調査から

先週「日本の貧困率、過去最悪の16%!」という見出しが躍って、下向き社会の実態が実感とシンクロしているんだなぁ、と確認できたのですが、朝日新聞のように「所得が少なく生活が苦しい人の割合を示す「相対的貧困率」が...」というアヤシイ修飾語を付けて記事を読ませるのは、どうかと思ったりもします。

確かに生活保護世帯200万人超、などと一緒に見るとなんだか悲惨だなぁ、ですが「絶対的貧困率」は5%程度、アメリカ、イギリス、フランスに比べても半分以下、決して食うに困る人間が溢れているわけでもありません。ただ「憂鬱な社会」であることに変わりはないのですが。そんな国民の所得の実態を平成22年国民生活基礎調査から覗いてみます。

よくニュースの見出しに出てくる「平均所得;560万円」に満たない人間が6割、年収300万円以下が30%超の状況ですから「相対的貧困率」は早晩20%を超えてくるんだろうなぁ、とも思えます。

「格差社会」自体が問題なのではなく、可処分所得を持てない層のボリューム増が問題、という言い方もできなくはありません。しかし世界第三位のGDPを誇る国の国民所得が何故こんなにイビツなんだろうとも思えるのは、前世紀からの産業リストラが所得再分配の機能を無くし、金持ちの金が下層に還流しない構造化が進んだからだと言えます。

単純に「デフレだから」で済まないのは、今日の社会が高度に効率化されたグローバルスタンダードを受け入れた社会であって、もはや昔の実体経済に寄り添う社会で無くなったからです。