風船爆弾と気象学〜防空の盲点を突いた偵察気球〜

2月初頭にニュースが流れた「米国上空の謎の飛行物体」は大型気球らしいとすぐに判明、昨年秋頃 同級生のTweetにあったかつての日本軍の「風船爆弾」記事が頭に浮かんでおりましたら、中国は民間の観測気球と発表、アメリカは軍事偵察目的と推察、数日後に撃墜、落下物は回収されているらしいですが未だにグレーな状況ながら、その後複数の気球が発見されたり、過去には日本上空にも飛来していたとの報道もあり、お話は時節柄我が国の防空問題に発展、2週間経ってもいろいろ言われております。

「気象学と気象予報の発達史」-風船爆弾 編- 参照

「ふ」号兵器(風船爆弾)については、1924年日本の高層気象台が発見したジェット気流(偏西風:高度10kmより少し低い高度で風速72m(時速260km))が作戦の大元になっており、戦後「歴史家は人類最古の飛行物を使ったこの作戦を、アメリカへの報復のための哀れな最後の努力と見なす傾向がある。しかし、これは軍事的概念における重要な発展であり、陸上や潜水艦から発射される今日の大陸間弾道ミサイルに先行するものであった」と言われたそうですが、現代では防空監視を掻い潜るアナクロ的「意外性」に隠遁された軍事的偵察活動には向いていたとも言えます。北米カナダで撃墜された気球が「円筒形」「八角形」だったのはステルス性の試験? と勘ぐる向きもあるようです。