カワムラ・ダイバーでサイクル野郎だった少年時代

平成空前の高級カスタム自転車ブームというのはどうやら落ち着いてきたみたいですが「昭和40年男」なジブンにも短いながらそれは濃い「サイクル野郎」だった時代があります。そしてそれはそのまま後年の「モーターサイクル野郎」につながったのは言うまでもありません。

1974年から1982年まで「少年キング」に連載された荘司としおの漫画作品。ジブンの「モーターサイクル野郎」な時代に重なり、旅の想い出とリアルタイムに重なっておりました。

昭和40年代初頭、ジブンが10歳頃の1968年、”電子フラッシャー”なる電飾方向指示器が装着された子供用自転車が登場し始めますが、当時の大卒初任給にも匹敵する価格の超高級品で、そんなシロモノを買ってもらえる子供は限られたご家庭でありましたから、少なくとも九州・福岡市の野間本町界隈のフツーの子供達が乗っている姿を見かけることは稀でありました。

年次統計:大卒初任給

給食費を滞納しがちになる我が家にいたってはそんな夢のような自転車が降ってくることなど無いのだということはじゅうぶん承知しておりましたから、ジブンは近所の自転車屋の真向かいにある西日本新聞店で配達のアルバイトを思いつきます。

50部程度の夕刊配達で初任給は1,800円だったと記憶しておりますが、半年後には新聞店店長が保証人となり真向かいの自転車屋で念願の自転車を12回払いの月賦で手に入れます。(→【フツーがフツーでなくなった時代】記事

そんなジブンが選んだ自転車は、”電子フラッシャー”なる電飾には目もくれず、リム・スポーク、ハンドル、泥除け、キャリア等の外装を18.8ステンレス製とした<錆びない>カワムラサイクル・ダイバーの2世代目新型スポーツサイクル(外装5段変速、コッタレスクランク装備、前灯角型2灯、当時価格34,800円)でありました。翌年には同様に<錆びない>ブリヂストンサイクル:サブマリナーも登場しましたが、いやぁ少年ながらに貧乏人にはありがたいコンセプトだと思えたモンです。


コミック「アオバ自転車店」17巻の冒頭に登場するブリヂストンサイクル:サブマリナーのお話を読んでるうちに当時のことをいろいろ思い出しました。

 

その後、朝刊・夕刊各150部程度を配達するようになった12歳(小学6年生)頃には月給1万円ほどにもなっておりましたから、自転車に様々な改造を加えていくことに当てられました。

  • フロント大径クランクに交換
     
  • フロント外装3段変速化(計15段変速化)
     
  • 前後連動油圧ブレーキ改装(後輪はWブレーキ)
    油圧シリンダでブレーキアームを押し広げる構造で、片レバーで前後ブレーキを同時に動作させられた。記憶があいまいですが恐らくミヤタサイクルから発売されていたスポーツ車用のパーツ取り寄せ流用。
    まだディスクブレーキ登場前の時代、
     
  • 前後ラジアルタイヤ化
    ツノダ自転車が発売した悪路用スポーツ車に装着されていた”ラジアルタイヤ”(現在のBMX用ブロックパターン疑似タイヤ)

振り返るにつけペダルを踏んで過ごした時間も、車体をいじり倒した時間も、およそ小学生らしくなく濃かったように思われます。