忘れじのクラッシック・ミニ11 〜NISSAN フィガロ

先日はあきれたクルマの嫌な想いをしてしまったので、気分を変えたいと思いこんなクルマを選んでみました。「日常の中の非日常」を唱い「東京ヌーベルバーグ」をデザインコンセプトに、1991年に発売された「NISSAN フィガロ(Figaro)」です。

 

色つきでない(白色や銀色の)クルマがよく売れるように、多くの人が「自分らしい」クルマを求めることは、実はあまりないように思います。

また小心者がアルファードに乗っていても、下品な成金坊やがフェラーリに乗っていても、そんなに気になることはないのですが、よれよれの地方公務員がシトロエンC4ピカソに乗っていると、どうも腑に落ちないというか「アンタ似合ってないよ!」と突っ込みを入れたくなる(もちろん勝手な私の偏見ですが...)のはどうしてでしょう。

「NISSAN フィガロ(Figaro)」は、たかだか小型車マーチの派生車のくせにそのデザインコンセプトが見事にクルマの性格を変えていました。
よく出来た割り切りとこだわりが随所にあって、若者寄りにチャラけた不真面目さは感じません。むしろ敬意を表したいくらいでした。
だからこのクルマは、「ヨレヨレの地方公務員」と同様に当時のがさつな自分には不釣り合いだね、と思った記憶があります。

 

 

乗車定員4人の3ドアクーペですが、実用的な空間は後部座席に残っていません。ただどこぞのクルマの卑しいコンセプトとは違って「日常の中の非日常」ですから、宣伝も「2人だけの贅沢空間」を演出する方に振られていたように思います。

ベース車は日産K10型マーチで、日産Be-1も手がけた高田工業(株)に生産委託されたもの。全国限定2万台の抽選販売でした。
本革シートやフルオープントップが標準なのも小型車では異例ですが、外面塗装をフッ素コーティング標準としたことやエンジンにSOHCターボを奢っていたのにはちょっと驚きでした。

 

デビューした新型 Fiat500 にも同じような印象を持つんですが

「まじめに贅沢を施した家庭工業製品」

という感じでしたかねぇ。

 

あぁ...いまだったら乗れるかなぁ、などとたまに想ったりするクルマです。

そろそろくたびれたクルマが格安で出回る時期。ここで踏ん張って手を入れてやると品のいい「クラッシック」になって生き残れるんでしょうが、どうでしょうねぇ...